FC2ブログ

Suite Sweet Suite

キミが鍵を開けたから、最後の部屋が とびきりSWEETなスイートになった
2019年07月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2019年09月
TOPSuite Sweet Suite ≫ 舞台袖に背を向けて

舞台袖に背を向けて

子どもの頃、イベントで
タダでお菓子が配られたことがありました。


あれよあれよという間に
たくさんの手が伸びて
「ちゃんと並んでね」という大人の声は
かき消されてしまう勢いでした。


日本人には多いのかなと思うのですが
私はこういうとき足が止まってしまいます。


そのお菓子は本当においしそうだったので
内心は欲しくて堪らなかったのですが・・・


人波をかき分けて前へ行くことが
どうしてもできない私は、いつも
「自分が食べられなかったぶん、誰かが食べられる」
(「自分が食べたら、誰かが食べられない」)
そう考えることで、競争から降りてばかりいました。


けれどその日、
一番仲良しの、大好きなお友だちが駆け寄ってきて
私に言いました。

「シロップちゃん、もらえなかったでしょ?
 私のを半分こしよう!」


いいの、私はいいの。
そう言う私に

「ううん、シロップちゃんが一緒に食べないと
 私もおいしくないもん」

友だちはニコニコして、
小さなお菓子を半分に割り、差し出したので
私は声を失ってしまいました。


その日のお菓子の味をよく覚えています。
「おいしい?」と私に聞いた友だちの笑顔も。


私は大好きな友だちに
お菓子をたくさん食べて欲しかった。

でも、私がきちんと主張をしないと
私の大切なひとの半分が減る。
そのことがとても、心に響いたのです。



私はそれから、できるだけ
自分の意見を言えるよう気をつけたり
音楽を始めた後は、競争からも
逃げないように意識するようになりました。


それでも今でもやはり、ときどき
私は自分が自分でいるべき場所から
降りようとしてしまいます。


そんなときは
自分が失おうとしているものが
カカオの半分でもあるということを思い
動かない足を一歩でも
前に出そうとするのです。


そしてもしできることなら
今度は私が、自分で両手に掴んだものを
カカオに、大切なひとに、
半分割って差し出したいと願っています。



シロップ



4945.jpg





Suite Sweet Suite | Comments(-) | Trackbacks(-)