FC2ブログ

Suite Sweet Suite

キミが鍵を開けたから、最後の部屋が とびきりSWEETなスイートになった
2019年09月 ≪  12345678910111213141516171819202122232425262728293031 ≫ 2019年11月
TOPSuite Sweet Suite ≫ 書くこと

書くこと

「心の中のことを、信頼できる人間に話すように
 書いていきなさい。

 人間の脳は、何でも頑張って覚えておこうと
 努力するように出来ているけれど
 何かに書き残せば、もう覚える必要はないのだ、と
 安心して忘れることが出来るから。

 楽しいことは頭に残して
 つらいことは書いて忘れてしまいなさい。」


たまたま読んだ小説に書いてあった言葉だけれど、
感銘を受けた数年前の私は
その日から日記を書きはじめました。

書いてみると、なるほど、
つらい思い出は、少し他人事のように感じられ
忘れることも出来そうな気持ちがしました。

けれども不思議なことに
断片的な記憶は、より鮮やかさを増して
脳裏にフラッシュバックするようになりました。

たとえば、つらい思い出の中のほんの一瞬・・・

ぶつかり倒れた机の上のコップに反射する光や、
大量の挽肉を捏ねる時の掌の冷たさ、
夜中の車内で夢うつつに見つめた赤信号の点滅・・・

そういったものたちが、望まないにも関わらず
頭の中に再生されるように。


それでも、忘れていくことを期待して
書き続けていた私。

そんな折、一緒にお風呂に入ったとき、カカオが
湯船から出ている私の肩に、何度も何度も
手で掬ってお湯をかけてくれました。

なんだか懐かしいような気がして
これも断片的な記憶のフラッシュなのかと思い・・・

けれど何度考えても、
こんな幸福な記憶があるはずがなく
そのうち私は悟ったのでした。

そうだった、これは私が夢見ていたことだった。

その優しさを夢見て、自分で自分の肩に
お湯を掬ってかけた記憶でした。
わざと全身浸からずに、わざと音を立てて・・・


カカオといると私は、幸福な記憶を貰えることがあります。
いまカカオがしてくれることを
自分自身の思い出として感じるなんて
おかしなことだとは思うのですが、
遡ってまで、愛してもらえたような
(愛して「もらえる」という言い方は良くないのですが、敢えて・・・)
そんな気持ちになり、涙が出そうになります。

そのような体験を繰り返すたび、
記憶の断片に怯えることがなくなりました。
そして、書くことは忘れるためではなく
純粋に楽しみのためだと思えるようになりました。

私はこれからも、カカオと一緒に
思い出を一つ一つ、大切に
頭の中にも、文章にも
残していきたいと思うのです。


シロップ


IMG_9186.jpg




Suite Sweet Suite | Comments(-) | Trackbacks(-)