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Suite Sweet Suite

キミが鍵を開けたから、最後の部屋が とびきりSWEETなスイートになった
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元日の朝のこと

出さなければならない年賀状が
鞄の中にあることを思い出し
静かに眠っているカカオの隣を
そっと抜け出して
私は外へ出ました。

元旦の住宅地は静かで
それなのに不思議な活気があって
何故だろうと思うとそれは
家族連れが多いからのような気がしました。

家族たちは皆
はしゃいだり騒いだりはあまりしないで
微笑み合ったり小声で会話したり
歩いたり車に乗ったり仲良しで、
それから
家族ごとに同じ色を
纏っているように見えました。


私は急に孤独感に捕われて
暖かい日差しの中
そこにあったベンチに座りました。

目の前をまた
何組もの家族連れが通りました。


気がつくと、座る私の前に
小さな犬を連れた初老のご婦人が立ち
私をじっと見ているのでした。

「一人なの?」

自分が話しかけられたのだとわからず
ぼんやりとその女性を見返すと、
今度はゆっくり、言い聞かせるように
再び声がしました。

「あなたも、一人なの?」

「・・・・・・」

私は首を横に振ると
機械的にベンチから立ち上がり、
また機械的に会釈をして踵を返しました。


(果たして、違うのだろうか?)

頭の中の声を振り払うように
夢中で歩き続ける私は
今度は警備服を着た男性に話しかけられました。

「足をどうなさったのですか?
 捻られたのですか?」

親切そうなその男性は、私が

「いいえ、事故で・・・昔から・・・」

と小さな声で呟くと、
申し訳なくなるほどに口ごもり
「すみません、本当にごめんなさい」
何度も頭を下げるのでした。


私はまた首を振り会釈をして
逃げるように立ち去りました。

いたたまれなくて
涙が出そうでした。

私は何から逃げているのでしょう。

わかりませんでした。
私はただ、カカオの待つ部屋に
帰りたくて仕方がありませんでした。

「どこへ行っていたの?」
きっと少し心配そうに
そう言ってくれるであろう声を聞きたくて、
その腕の中に、飛び込みたくて・・・

元日の朝を
不格好に走り続けたのでした。


シロップ

IMG_6956.jpg



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