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Suite Sweet Suite

キミが鍵を開けたから、最後の部屋が とびきりSWEETなスイートになった
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貧乏クジと感情移入

「ビン。貧乏神のビンじゃない?」

「ああ、これはこれは・・・」


久しぶりね、とお茶を出すと
ビンは恐縮した様子で
縁側に上がって来ました。


「今日は近くに用事があって
 通っただけなんですよ」

「また、誰かに貧乏クジを届けに?」

「はあ、それが仕事ですから」


私はビンの横に並んでお茶を飲みながら
他人に貧乏くじを届け続けるという仕事について
考えていました。


IMG_3540-10.jpg


「つらくはないかって、お考えですかね?
 
 いやまあ、そりゃあ、やるせないときはありますよ。
 でも、誰かがやらなきゃならないことですから」

ビンは淡々と、そう言いました。

「コツは、感情移入しないことですかね」


まあ、ビン。うちに来たときとずいぶん違うのね。

そう言おうとして、私は
ビンの赤い目に気がつき・・・

気がついたそのときには、ビンはもう
立ち上がり、杖を手に よろよろ歩き出していました。


「ごちそうさまです。
 黒いかたによろしくお伝えくださいね」


こちらを振り向かず歩いていくビンの背中に
手を振りながら、私は心で呟きました。


(感情移入は、するわよね、ビン。
 何度繰り返そうが、何人に貧乏クジを渡そうが、
 慣れることなどなく、きっと。

 そんなあなたが配る貧乏クジだから
 受け取ってもみんな、頑張れるのよ。
 
 なにくそって奮起したり、冷静に受け流したり、
 じっと耐えたり・・・方法は人それぞれだけど
 ねえ、ビン、きっと。)


ビンの置いていった湯呑を見つめながら
私は、今日ビンから貧乏クジを受け取った
誰かのことを
長いこと、考え続けたのでした。


IMG_3541-10.jpg

シロップ




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